Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「という訳で、杏香さん、力になって貰えるの?」


随分と女王様にフランクに話す乾くん。見てるこっちがヒヤヒヤするわ。


「純太(じゅんた)、会社では気をつけなよ、その言葉遣い。」


「ああ、そうだね。」


「色んな奴がいるからね、ある事ない事、好き勝手言う奴が。」


何となくだけど、雉原さんなりに乾くんを大切に育ててきたんだろうな。なのに課長に持ってかれたからそりゃ怒るわ。


「っで、あんたはどうなの。モモはもう諦めるの?三鬼の事。そこを聞いとかなきゃ私だって協力も何もでしょ?」


ざっと雉原さんにはこれまでの経緯を話した。三ヶ月という期間限定で付き合ってるという事、その期間中に課長を本気にさせるって事も。


そして、課長に呆れられてしまった事も。


「そもそも誤解なんだしさ、桃原さんからちゃんと課長にもう一度話せば、なんなら俺が説明しようか?三人で居酒屋で飲んでただけですって。」


黙る私に助け舟を出してくれる乾くん。けれどーーー


「純太は黙ってな。これはモモの問題だよ。で、どうすんの?これっきりにしてしまうの?」


そう、これは私の問題だ。


私が決めなければ。もうこのまま課長の事を忘れるのか、それとも…。


「私、やっぱり諦めたくないです。今のままじゃ私の気持ち、全然課長に伝えきれてないです。例え振り向いて貰えなくてもちゃんと好きって気持ち伝えなきゃ。きっと後悔する。」


「ん、分かった。私もモモの気持ちを聞いた以上は協力する。それにあいつが誰かに夢中になる姿、見てみたいしね。」


「見れますかねぇ。」


今の状況じゃ、例え地球が滅亡してもそんな日が来るとは思えない。


「案外、そう遠くはないかもね。」


そう言いながら居酒屋の入り口の方へ目をやる雉原さん


私と乾くんも振り返ると


息を切らせた課長が立っているのが見えた。


えっ?