雉原 杏香(きじはら きょうか)さん、現企画営業部課長補佐。
身長170少し超える黒髪ロングのスレンダー美人。
仕事もバリバリとこなし、その上この美貌。
社内で知らない人はいない。
けれど私は知らなかった。いや、存在は知っていたけどあの美貌と才能を持ち合わせる雉原さんの中身がおっさんだったって事を。
「モモっ、聞いてんのか?」
「はい、聞いております。お代わりこちらに置きますね。」
「ん。」
お代わりが速やかに届き、ご満悦の女王様。そして「何気に私と名前被ってんじゃないわよ。」と、私、桃原杏子は女王様に本日よりモモと命名して頂きました。
「ねぇ、これ、3杯目だけど大丈夫なの?」
居酒屋の座敷席で私の隣に座る乾くんにコソッと聞いてみる。女王様は先程から焼酎のロックを飲んでらっしゃってすっかり出来上がりつつあるからだ。
「ああ、この人、ザルだから。」
この人ねぇ…随分、馴れ馴れしいな。確かお兄さんの元カノだっけ?
にしても知らなかったなぁ、課長と雉原さんが同期だなんて。ある意味、豊作の年だよね。
「そもそもよ、私がこのクソ坊主をイチから手取り足取り教えて漸くヨチヨチ歩き出しかと思ったらかっさらってったのよ。マーケティング部に。人が苦労して育てたクソ坊主をさ。」
どうやら雉原さんは入社以来、自分の下に付けて育ててきた乾くんをこれからって時にあっさりマーケティング部に引き抜かれたのが相当ご立腹のようで。
「あいつ、本当に学生の頃からそういう所、あるんだよね。要領が良いと言うか、ずる賢い所があるんだよね。」
そう、雉原さんは何と大学の頃から課長を知っているのだ。それで乾くんは強力なツテがいると雉原さんにお願いしてくれたんだけど。
「課長って昔からモテてたんですか?」
「モテない理由ある?」
鶏皮を口に頬張りながら聞き返す女王様。
「いえ…ですよね。」
なんか、へこむなぁ。それに課長の学生時代を知っている雉原さんにも少し妬ける。
「だけど、ロクに続く事なかったわよ。あの性格だからね。」
なるほど。納得。やっぱり昔から本気で人を好きになるなんてなかったんだね。
じゃあ、本当に私なんか相手にされる訳ないんじゃないの?
身長170少し超える黒髪ロングのスレンダー美人。
仕事もバリバリとこなし、その上この美貌。
社内で知らない人はいない。
けれど私は知らなかった。いや、存在は知っていたけどあの美貌と才能を持ち合わせる雉原さんの中身がおっさんだったって事を。
「モモっ、聞いてんのか?」
「はい、聞いております。お代わりこちらに置きますね。」
「ん。」
お代わりが速やかに届き、ご満悦の女王様。そして「何気に私と名前被ってんじゃないわよ。」と、私、桃原杏子は女王様に本日よりモモと命名して頂きました。
「ねぇ、これ、3杯目だけど大丈夫なの?」
居酒屋の座敷席で私の隣に座る乾くんにコソッと聞いてみる。女王様は先程から焼酎のロックを飲んでらっしゃってすっかり出来上がりつつあるからだ。
「ああ、この人、ザルだから。」
この人ねぇ…随分、馴れ馴れしいな。確かお兄さんの元カノだっけ?
にしても知らなかったなぁ、課長と雉原さんが同期だなんて。ある意味、豊作の年だよね。
「そもそもよ、私がこのクソ坊主をイチから手取り足取り教えて漸くヨチヨチ歩き出しかと思ったらかっさらってったのよ。マーケティング部に。人が苦労して育てたクソ坊主をさ。」
どうやら雉原さんは入社以来、自分の下に付けて育ててきた乾くんをこれからって時にあっさりマーケティング部に引き抜かれたのが相当ご立腹のようで。
「あいつ、本当に学生の頃からそういう所、あるんだよね。要領が良いと言うか、ずる賢い所があるんだよね。」
そう、雉原さんは何と大学の頃から課長を知っているのだ。それで乾くんは強力なツテがいると雉原さんにお願いしてくれたんだけど。
「課長って昔からモテてたんですか?」
「モテない理由ある?」
鶏皮を口に頬張りながら聞き返す女王様。
「いえ…ですよね。」
なんか、へこむなぁ。それに課長の学生時代を知っている雉原さんにも少し妬ける。
「だけど、ロクに続く事なかったわよ。あの性格だからね。」
なるほど。納得。やっぱり昔から本気で人を好きになるなんてなかったんだね。
じゃあ、本当に私なんか相手にされる訳ないんじゃないの?



