Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「どうせなら上手くいってもらった方が俺も諦めつくし。三鬼課長だけに鬼退治と行きましょうよ。」


えっ、鬼退治って…確かに名実ともに鬼な課長だけど。


退治しちゃアカンでしょ。


「気持ちは有り難いけど、いいよ。申し訳ないし。」


うん、これ以上、話をややこしくしないでおくれ。


「遠慮する事ないですよ。だってそんな悠長にいってる余裕ないですよね?既に三ヶ月切ってる訳だし。」


「あ、えっと…」


それはそうなんだけどさぁ。だからと言って乾くんが協力とかってさぁ、おかしくない?


目を輝かせ話す乾くんを見ているととてもじゃないけど言えない。


「じゃあ、こうしよ。俺に何かくださいよ。その見返りに協力するって事で。」


「はい?」


「だってそうでしょ?桃太郎に出てくる犬だってきび団子貰って鬼退治のお供になってるんですよ。タダじゃ行かねぇしって事ですよね?」



うーん、桃太郎のお話がものすごーく軽薄な話に聞こえてきたが、気のせいか?


「いや、ほんとに気持ちだけで……」


「甘いっ。」


そう言ってドンッと机を一つ叩く乾くん。途端に私も正座し背筋をピンっと伸ばす。


「いいですか、桃原さん。」


「はい、何でしょう。」


「こう言うのは周りから固めて行かなきゃ駄目なんですよ。真っ向勝負とか砕け散って速攻終わりだよ。」


「はい……」


確かに既にクリスマスは砕け散ったが。


「クリスマスは?」


「えっ、クリスマス?」


「約束してないの?」


「えっと、してたんですけど…」


何やら先輩後輩の立場が逆転してるような……


「したけど、なに?」


「仕事みたいで…」


「はあ?なんですかそれ。まさかそれで素直に引き下がったんですか?」


「ええ、まぁ。仕事なら仕方ないし。一応、土曜に埋め合わせ的な予定はしてもらってるし…」


後半、ごにょごにょと口ごもる。


目の前には大袈裟に頭を振り、抱え込む仕草をする乾くん。


ほんと、イケメンって何をやっても様になるわ。


って感心してる場合かっ。