Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「あの、」


「お待たせしましたぁ。」


乾くんが何かを言おうとした時、お店の人がビールとウーロン茶を持ってきてくれた。


お店の人がドリンクを置いてった後、乾くんが言った。


「こういう事なんだよなぁ。」


「ん?なに?」


「つまり、タイミングが悪いってことですよ。」


「タイミング?」


「今、俺が話そうとしたら店の人がドリンク持ってきて話せなかった。つまり、それと同じで俺が桃原さんを狙ってたって打ち明けるタイミングも悪かったんだなって。」


「乾くん…、ごめん。」


確かに、課長との事がなかったらーーー


もし、あの残業の夜に乾くんも同じ場所にいたならーーー


こんな話にはなってなかっただろう。


そして私の報われない恋心はきっと、乾くんが忘れさせてくれてたのかもしれない。


私に新しい恋をもたらしてくれてたかも。


全ては「もし、」の話だけど。


「そんな顔するの無し。俺、言ったでしょ?勝ち目の無い勝負はしないって。俺、課長の事、尊敬してるし男から見ても課長はヤバいくらい格好いいし。」


いや、君も相当モテてるよ?


て言うかヤバいくらいってどうよ。


「だから、諦めますよ。桃原さんの事。これからもこれまで通り、接して貰えると助かります。」


「うん、分かった。」


社内イケメン2トップの内の一人にこんな風に言ってもらえるなんて勿体無いくらいだけど、乾くんのそんな気遣いが有り難い。


「っで、そう言うことなら俺、協力しますよ。」


えっ?


「キョーリョク?」


「そっ、協力です。桃原さんの手下となり助けるって事です。」


「はぁ……」


なんか、話、妙な方向に行ってないか?