Tell me !!〜課長と始める恋する時間

定時が近づくに連れ、落ち着かない私。


ついつい、時計を何度も見てしまう。


すると隣の席からスッとメモ用紙が。


ーーーー先にここへ行っててください。


乾くんは小声で言うと簡単な地図が書いてあるメモをこちらに寄越した。どうやら、その店で待ち合わせたいようだ。


何となく課長の方へ目を向ける。


いつもと変わらぬ安定のクールビューティ。


「えー、お先に失礼します…」


一瞬、課長がパソコン画面から顔を上げる。


「お疲れ様。」


その視線は直ぐにパソコンに戻された。


何かいつもより殺気立っている気がするんだねど気のせいだろうか。まぁ、今日も大忙しだもんね、課長は。


しかし、この場に居ては息が詰まりそう……


兎に角、ここから出ようっと。


乾くんの方を伺うと


げっ、ウィンクした。ウィンクしちゃった?そりゃ、イケメンだから何やっても様になってるけど、今する必要あるのか?


イケメンとは時に不可解な行動に出るものなのかもしれない。


逃げるようにオフィスを後にした。


指定されたお店へは直ぐに辿りつけた。



へぇ、こんなところにこんなお店があるとはねぇ。


会社からもそれ程遠くないけれど一本裏道に入った所にあるのであまり目立たず今まで知らなかった。


見た感じとても落ち着いた雰囲気のお店だった。


恐る恐る中へ入ると、「ご予約で?」と聞かれたのでメモに書いてあったとおり乾くんの名前を告げた。


すると「こちらへ」と奥の個室に通された。


店内を見る限り、和食のお店っぽいかな。


取り敢えず、メニューを見ながら乾くんの到着を待つ。 


やはり、和食をメインとした創作料理のお店の様だ。奥に通される時にカウンターに旬の野菜をふんだんに使ったお惣菜が入った大皿がたくさん並んでたしね。


「中々、美味しそうなお店じゃん。」


一人呟くと


「でしょ?実際、旨いよ。」


その声に振り向くと乾くんだった。