Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「課長…」


うっとりとしながら私がそっと目を閉じると


「なんて言うと思ったのですか?」


「はい?」


「ほら、着きましたよ。素早く降りてください。後ろのタクシードライバーが苛ついてる。」


課長は手際よく私のシートベルトを外すと早く降りろと促す。


「えっと、あっ、はい…」


ん?今のは私の幻聴なのか、幻覚?いや、それとも願望からくる妄想なのか?


今、とってもいい雰囲気になってたのでは?


「いやぁ、久しぶりの人混みに疲れました。じゃ、また明日、会社にて。」


呆気に取られながらも急いで車から私が降りると、後方を確認し直ぐにでも車を出そうとする課長。


私が急な展開に付いて行けず未だ降りた場所から動けないでいると、助手席の窓がスーっと開いて


「しかしながら…、女性と出掛けて初めて楽しいと思えました。では失礼。」


「えっ、あっ……」


行ってしまった…。


なんだったんだ。


うぅ…折角、いい雰囲気だったのにっ。


映画デートで課長の心を掴めたかと思ったのにぃ。


やはり、難攻不落の課長を落とすのは一筋縄ではいかないってことか。


はぁ……後、二ヶ月と一週間か?


マジでヤバくない?


ん?でも帰り際、なんて?


何か言ってたな、課長。


「なんて言ったっけ?」









「初めて楽しいと思ったって言ってたよん。」


突如、真後ろから掛かった声に振り返るとマサルだった。


「ちょっと、何してんのよ。」


「姉ちゃんこそ、何してるん?」


「な、何って……それはーーー」


「それは?」


マサルがニヤついた笑顔を向けてくる。


こいつ、マジでウザい。