「顔、赤いけど?」


あんたが赤くしたんだろがっ。


「だって、き、急に課長、た、食べるから…」


周りの視線も感じて恥ずかしくて顔を上げられない。それでなくてもこの店に入ってきた時からチラチラと他のお客さんから視線を集めていたのに。


更に注目を浴びるような事をされて、私が一人ドキドキしていると言うのに目の前の課長ときたら


「あっ、もしかして僕が食べて少し減ったから怒ってる?」


な訳ねぇだろって顔を上げると課長が意地悪げに笑っていた。


「も、もしかしてわざとですね。人の事からかって楽しんでるっ。」


もぉ、とっとと食べて早くこの店から出よう。このままじゃ恥ずかし過ぎる。急いでパフェを食べていると


「すいません、あまりにも桃原さんが美味しそうに食べるので珍しく興味を持ちました。」


ほんの少しだけど申し訳なさそうに言う課長。


「興味ってほうじ茶アイスですか?ああ、もしかして仕事の話とか?」


課長はいつだって頭の中、仕事だもんね。


「確かに抹茶味のお菓子は沢山ありますがほうじ茶をメーンとしたその手の商品はあまり無いので気になります。けれど今はそれよりも桃原さんに興味を持ちました。美味しそうに食べる姿に。」


「っ……げほっ」


思いもよらぬことを言われ咳き込んでしまった。


「大丈夫ですか?ほら慌てずゆっくり食べなさい。パフェはどこにも逃げて行かないから。」


目の前に座る課長が楽しそうに言ってくる。



わ、私に興味をって…


これって少しは望み出てきたか?