Tell me !!〜課長と始める恋する時間

展示会場に着いてからも課長の態度は素っ気なくて、ってそれは元からか。


私が期待しすぎたのがいけなかったんだ。課長は次の新商品発売に向けて少しでも何か情報をリサーチ出来ればとあくまで仕事として今日、ここに来ているのに。


私と来たら半分デート気分で浮かれてた。周りを見回してもこんな浮かれた格好してるの私くらいだ。


恥ずかしくて仕方ないよ。今すぐここから出ていきたい。


だけど、それじゃあ、もっとダメだよね。


格好はともかく、せめて仕事はちゃんとしなきゃ。


「課長、私、向こうのブース辺り、ざっと見てきます。それで気になるものがあればピックアップして課長に報告しますね。」


想像以上に広かった会場内にはカテゴリー別にブースが設けられていて一つ一つ見ていると時間が掛かりそうだし、かと言ってお菓子のブースだけ見るのは勿体無い。直接関係なくても全体の流れを見てこそ、この次にくる流れを見つける事も出来るからだ。


それを教えてくれたのは課長だ。


私がその場を去ろうとしたら


「駄目です。桃原さんに別行動は無理です。」


「無理って…」


私には任せられないってこと?確かに普段からミスも多いけれどそれなりに私もこれまでやってきたと思ってる。でもそれを無理という一言で全部否定された気がした。


「兎に角、僕に付いてきてください。」


いつもの如く表情も変えることなく淡々と言うと次のブースへとさっさと向かっていった。


今に始まった訳じゃないけど……そんな言い方って無いよ。