うーん、仕事とは言え休日に会うとなると少しはお洒落したくなるのが恋する女というもの。


「こっちだとちょっと派手だよねぇ。」


場を外しすぎるとさすがに顰蹙だしなぁ、だからといってリクルートスーツ的なのもどうかと思うし。


「よし、これでいこう。」


上は淡いピンク系の薄手セーター、下は濃紺色した緩めのフレアスカートにした。


まぁ、普段とさほど変わらないけどセーターは襟ぐりのデザインが気に入ってるものだし、スカートも少し丈が短めのものしてみた。


いいよね?これくらいなら。少しでも可愛く見られたいもん。


何せ、こちらは時間がないんだから攻めの姿勢で課長の気をどんどん引かなきゃ。


最後にキャメル色のハーフコートを羽織って準備オッケイ。


会場は隣県にあって、結構、遠いらしく課長が車を出してくれるとのこと。


家まで迎えに来てくれると言うのを丁重にお断りして最寄り駅のロータリーで待つ事にした。


今日は土曜日。


しかもまだ午前中だし、うちの家族みんないるよね。


うっかり課長とうちの家族が出くわそうものなら何を言われるやら。


私は出来る限り音を立てずにそっと玄関に行った。


ちょうど弟が寝起き姿で2階から下りて来たけれど無視してドアを勢い良く開いて出ていった。


ギリギリセーフ。


うちは4人家族で両親と、私より6つ下の弟がいる。


そしてチワワが1匹。


お父さんは地元の信用金庫に勤めていて一見堅そうな職種だけど、下町育ちだからか、かなり砕けた性格だ。


そしてお父さんと幼馴染みのお母さんは結婚してからずっと専業主婦だけど多趣味なので家に篭もりきりという事もなく友達も多くとても楽天的。


私としてはごく普通の家族だと思っているけれど、友達に言わせるとうちの家族はとても仲が良いらしい。


確かに私も未だ親元暮らしだし、大学生の弟も地元の学校だから実家から通っている。


下町ではあるけれど比較的都心に近く、最寄り駅にも近い。それに店だって何かしら揃っている。


つまり住みやすいのだ。


だから未だ家族四人プラス犬も含め仲良く一つ屋根の下暮らしているわけだけど、ただその反面、面倒な事もある。


それはーーー