Tell me !!〜課長と始める恋する時間

病院にて彼女の細い腕に刺された点滴針を見て胸が痛む。


「無理させてすまない。」


その声に反応したのか彼女が目を覚ました。


点滴のお陰で先程より顔色も随分と良くなっている。単なる貧血との事なのでさほど心配は要らないだろう。


「気づきましたか、桃原さん？」


まだ意識がぼんやりする彼女に声を掛ける。


「課長？」


あまり、状況が飲み込めていないようだ。


「貧血だそうです。恐らく寝不足であろうと。点滴をすれば良くなると先生が仰ってました。」


僕が説明すると恐る恐る彼女が聞いてきた。


「そうですか…もしかして、課長が運んでくださったんですか？」


僕がそうだと言うと彼女は未だ僕に目も合わせず何やら考え込む様子。


恐らく自分の体重が重かったのではないか、そう言ったことを考えているのだろう。


そんなわかり易い彼女につい僕のSの部分がムクムクと出てきて「運ぶの大変でした。」とでも言いたくなるが今は堪えよう。


けれどこれくらいは良いだろう？


「桃原さん、体調管理も仕事の内ですよ。」


と、いかにも上司らしく言ってみる。


すると、こんな状況でも素直に謝る彼女。


「すいません…自覚が足りませんでした。」


なので直ぐに本当の思いを告げた。


「と、言いたいところですが…僕のせいですね、きっと。」


その言葉に驚く彼女の頬にそっと触れる。


いつぶりだろうか、彼女の温もりを感じるのは。


僕は雉原に言われた事を彼女に伝えた。