Tell me !!〜課長と始める恋する時間

僕は漸く決心が着いた。


仮に家の為と言われるまま結婚して子供が出来た時にもしかすると自分と同じような目に合わせてしまうのではないかと。


それだけは出来ない。


僕は思った。愛のない結婚なんてするべきじゃないと。


その思いを彼女にも伝えたいと思うのに僕は未だ避けられている身。


そんな時、丁度、部内での飲み会が開かれる事に。オフィスでは避けられていてもこういう席では逃げることも出来ないだろう。


僕は飲み会の席でそのタイミングを見計らっていた。


なのに、


ーーーどうして雉原と乾が彼女の隣を占拠するのだ?


これじゃぁ、近付けない。


それに雉原に無理矢理飲まされるんじゃないかと気になって部長の話が全く入ってこない。


それよりも乾は一体、どういうつもりだ?


少し馴れ馴れしずきやしないか?


近い、近い、近すぎる。


あいつ、会社では飲まないくせに今日は飲んでいるし…もしかすると、


酒の勢いで彼女を持ち帰るつもりか?


ふざけるな。


ふと、彼女を見ると随分と顔色が悪い。


飲み過ぎか?それとも体調が悪いのか?


そのまま様子を見ていると立ち上がった彼女がゆっくりと崩れて行くのが見えた。


「桃原さんっ。」


乾の叫ぶ声がその場に響く。


雉原も何か言ってるようだ。


僕は何も考えなかった。


周りの事など気にしなかった。


ただ、彼女を抱きとめたい。それだけだった。


席が離れていたこともあり、それは出来なかったけど頭を打たないように支えてくれた乾には感謝しなければいけないだろう。


けれど僕はなりふり構わず彼女の体を支える乾から有無を言わさず彼女を奪い抱き上げた。


「直ぐ出た通りにタクシーが停まっている。救急車を呼ぶより早いだろう。病院に着いたら連絡するので悪いが鞄を頼む。」


彼女を抱き上げたまま僕は店を出た。