Tell me !!〜課長と始める恋する時間

気付けば僕は彼女に提案をしていた。


期限付きで付き合わないかと。


本気にさせてくれないかと。


言いながらも何を言ってるんだと自分自身、呆れた。


けれど、この世に真実の愛があるとするならば単純に知りたいと思った。


きっとそんなもの、あるはずが無いと思いながら僕は彼女にそう言った。


「本気にさせてみてよ」と。


期限付きで付き合い初めて知ったこと。彼女は僕とは真逆の人だ。


彼女は両親から愛情をしっかりと受け育っている。


その一つが手作り弁当だ。


社会人にもなって未だ手作り弁当を食べているなんて。


しかし、僕の食生活事情を知った彼女は僕の分の弁当まで持ってきた。


母親の手作り弁当を。


そこは君が作るんじゃないのか？


好きな男には自ら手作りするもんじゃないのか？


綺麗なおかずの隣に並ぶデコボコのおにぎりを見つめそう思った。


なるほど。せめてとおにぎりだけは自分で作ったか。おかずとのクオリティに差があり過ぎる。


けれど、デコボコなおにぎりを見ていると彼女の一生懸命さが伝わり今まで食べてきたどんな食事より美味しいと思った。


何故か子供の頃に真っ赤な爪をした母親が作ったやはり形の悪いおにぎりを思い出していた。


これまで女の手料理などろくに食べたことの無かった僕は初めての感覚に少し戸惑った。