Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「どうしました、課長。」


「あの時、桃原さんに酷い事を言いました。」


「あの時？」


「桃原さんが僕を好きだと言ってくれた時、そんなものは戯言に過ぎないと全否定しました。」


ああ、あの残業の時の話だよね。


「課長、そんな事、気にしてたんですか。大丈夫ですよ。あの時の私は課長がどうしてそんな事を言うのか事情知らなかったですけど、事情を知った今では恋愛に期待しないと言った課長の気持ち、少しは分かる気がしますから。」


「そうですか。それを聞いて安心しました。僕も今なら分かります。君があの時言ってた好きな人の側にいるだけで幸せだと言った意味がーーー」


課長も椅子から立ち上がるとそう言って私を抱き寄せた。


身長の高い課長の胸にすっぽり収まる私。


課長からほんのり香るいつもの匂いが心地良くて安心する。


「確かにこうしているだけで、僕は幸せを実感出来る。こんな風に思える日がくるなんて。」


課長の言葉が頭上から降ってくる。


私も幸せですって言おうとしたら課長が更に言葉を続けた。


「桃原さん、ありがとう。」


「えっ？」


「僕を好きになってくれてありがとう。そして、」


ーーー僕に本気の恋を教えてくれてありがとう。


「課長…」


顔を上げ課長の顔を見るけれど視界が滲んでぼやけてしまう。


「化粧、直す前で良かったですね。」


「ほ、本当ですよ。泣かせるような事、急に言わないでくださいよ。」


「ずっと言いたかったのですが、いう機会がなかったもので。」


そう言って私の目に滲む涙を親指で拭ってくれる。


課長の言葉を聞き、私も機会がなく聞きそびれていた事を思い切って聞いてみた。


「課長…、今更ですが…」


「なんです？」


「約束の期限である三ヶ月過ぎちゃってますけど、良いんですよね？私達、このままお付き合い続行ということで。」


今更と思いながらもこう言うことに対して、言葉でハッキリしたがるのが女子な訳で。