Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「それであんた達はどうなったのよ。」


「えっ、ああ、まぁ、その日は弟さん達の話で私達どころではなくて…また改めてってことになってます。」


結局、課長のお父さんにはこれと言って私達については何も話せなかった。


「改めてか。まぁ、どっちにしても婚約話が無くなってよかったじゃん。」


「はい、一応、子供が産まれるまでに籍は入れるそうですけど、弟さんが大学を卒業するまではそれぞれ実家暮らしだそうです。なので課長の縁談話は正式に破断となりました。」


厳密に言えば解決出来ていない事もまだある。


課長のお父さんに私との事を認めて貰えてないし、と言うよりそれどころでは無かったのが実際のところだ。


後、課長の実家の会社の経営状況の事もある。


まぁ、結果として相手の会社側と身内となる訳だから乗っ取りとかはないだろうと思うけれど。


ただ、根本的な解決にはなっていない。


「冷蔵庫で冷やして固まればオッケイですよ。」


乾くんが手作り柿の種クランチを乗せたトレイを慎重に冷蔵庫に入れる。


ていうか、ここ雉原さんちなのにキッチン完全に乾くんが使いこなしているよね。


何故、私が今、雉原さんちのマンションにて乾くんの指導のもと、柿の種クランチを作っているのかと言うと…


バレンタインデーの時、結局、課長にチョコを渡せなかったからだ。


あんな事になってしまって、渡しそびれたままだったから。


その事に漸く気付き、一ヶ月遅れてのバレンタインチョコを渡そうと思って今、作っているという訳だ。