「私達が行った時にはかなりシビアな展開になっていて、それで課長が間に入って両方の親を説得したんです。」
「三鬼、なんて言って説得したの?」
「はい。初めは弟さんを叱りつけました。」
「課長が?へぇ、意外だな。あっ、桃原さんクラッシュそのくらいでいいですよ、ここに入れてください。」
乾くんの指示通り、クラッシュした柿の種を湯煎されたチョコレートの中に放り込む。
「弟さんとは一緒に暮らしてもないし、ほとんど接点もなかったんですけど、やはり半分は血の繋がりがある訳で、何かしら課長も思う所があったのかもしれません。男として無責任な行動を取るべきでないと弟さんにかなり厳しく言ってました。中途半端な愛情で子供を作るべきでないと。」
「なるほどねぇ。三鬼、自分と被ったのかもしれないね。そのお腹の子が。」
「そうかもしれませんね。」
雉原さんの言葉にその場にいた私も同じ気持ちだ。
恐らく課長は自分の様に愛情に冷めた人間をこれ以上、作りたくなかったのだろう。
「でも、結果としては弟、ナイスですよね。」
ナイスって…乾くん。
しかし乾くん、器用だなぁ。クラッシュした柿の種とチョコレートをザクザク混ぜスプーンで形を整えながらクッキングシートの上に綺麗に並べていく。
「うん…まぁ、最終的に課長の婚約話は白紙になったからね。」
まるでサヨナラ満塁ホームランのようだった。
お腹の子供を産むと言って聞かない婚約者。そして、大学を辞めて働いて子供と彼女の面倒を見るという弟。
いくら説得しても引かない二人の強い意思と課長の説得もあり、最後は双方の親が折れた。
ビジネス重視の二人の経営者達にも新しい命に何かしら動かされるものがあったのかもしれない。
「三鬼、なんて言って説得したの?」
「はい。初めは弟さんを叱りつけました。」
「課長が?へぇ、意外だな。あっ、桃原さんクラッシュそのくらいでいいですよ、ここに入れてください。」
乾くんの指示通り、クラッシュした柿の種を湯煎されたチョコレートの中に放り込む。
「弟さんとは一緒に暮らしてもないし、ほとんど接点もなかったんですけど、やはり半分は血の繋がりがある訳で、何かしら課長も思う所があったのかもしれません。男として無責任な行動を取るべきでないと弟さんにかなり厳しく言ってました。中途半端な愛情で子供を作るべきでないと。」
「なるほどねぇ。三鬼、自分と被ったのかもしれないね。そのお腹の子が。」
「そうかもしれませんね。」
雉原さんの言葉にその場にいた私も同じ気持ちだ。
恐らく課長は自分の様に愛情に冷めた人間をこれ以上、作りたくなかったのだろう。
「でも、結果としては弟、ナイスですよね。」
ナイスって…乾くん。
しかし乾くん、器用だなぁ。クラッシュした柿の種とチョコレートをザクザク混ぜスプーンで形を整えながらクッキングシートの上に綺麗に並べていく。
「うん…まぁ、最終的に課長の婚約話は白紙になったからね。」
まるでサヨナラ満塁ホームランのようだった。
お腹の子供を産むと言って聞かない婚約者。そして、大学を辞めて働いて子供と彼女の面倒を見るという弟。
いくら説得しても引かない二人の強い意思と課長の説得もあり、最後は双方の親が折れた。
ビジネス重視の二人の経営者達にも新しい命に何かしら動かされるものがあったのかもしれない。



