足がふわふわして地につかないとはこの事か。


けれど、舞い上がってフワフワしている訳じゃない。


その真逆。


決戦を前にして半端なく緊張しているのだ。


不安げな顔して隣を見ると課長が私に言う。


「大丈夫。僕を誰だと思ってる?」


いつかみたいに。


ほんとに自信たっぷりに言うからそうなんだなって納得してしまう。


「そうですね。なんせ、泣く子も黙る鬼課長ですもんね。」


私達は課長のお父さんが待つ会社へと向かった。


初めて知ったけど課長のお父さんが経営する会社は大手の不動産会社だった。


近頃では不動産以外にも手広く事業を広げていたみたいでそのうちの一つが上手く行かなくて経営が危うくなったというのだけれど。


にしても課長、ボンボンじゃん。


今更ながら護身術まで身に着けさせられていたという環境に頷ける。


受付で名前を告げ、応接室へと案内される。


部屋に入る前に課長が私の顔をもう一度見た。


私がどうかしましたか?って顔をすると、


首を軽く横に振りほんの少し微笑んだ。


なんだか、それだけの事なのに、


なんの確信もないのに、


全てが上手く行く気がした。


大丈夫なんだと、どこからくるのか分からない自信が私を後押ししてくれる。


これって、愛の力ってやつ?


そして課長はゆっくりとドアを開けた。


そこに待つ結末はーーーー