Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「今回、雉原にはかなり怒鳴られました。」


「えっ、怒鳴られた？課長がですか？」


「実はここの所、仕事でミスを繰り返し先日もあわや、大きな損失を作るところ雉原のお陰で免れたんです。」


「そうだったんですか…。」


そんな事があったなんて…全然知らなかった。確かに近頃の課長は仕事中も苛々してはいたけど、でもそんな大きなミスをしたなんてこれまで聞いたこともない。


「雉原にガツンと言われました。家の為だからと偉そうな事を言っておきながら、実際は好きな女の事で頭がいっぱいじゃないかと。そんな状態でよくも好きでも無い女の人生まで背負い込むなんて言えたものだ、あまりにも無責任すぎる、と。」


好きな女の事って…


その言葉に少しくらいは自惚れてもいいのだろうか？


「全く、雉原の言う通りです。初めは家の為の縁談なんてビジネスと割り切ってしまえるものと思っていました。それが僕自身、当然、受け入れるべき道なのだと。けれどそう簡単に割り切れるものではなかった。君が去ってからの僕は未練たらしい情けない男でしかなかった。」


「未練たらしい…」


「僕の中に一度、芽生えた感情はどこにも収まらなかった。君が僕の元を去ってから僕がしようとしている事の重大さを実感しました。結局、僕は自分のことばかり考えていた。君をたくさん傷付けたし、それに婚約者の気持ちも全く考えていなかった。」


「婚約者の気持ちって？」


「どうやら婚約者にも心に決めた人がいるそうです。」


「えっ？」


てっきり、課長との結婚を望んでいるばかりだと…。