Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「こら、黙って聞いてれば誰がとんでもない事しでかすだって?勝手な事言うなって。」


二杯目の焼酎ロックを飲み干しお代わりを頼もうとしていた女王様は部長様達に呼ばれ渋々席を離れてしまった。


「ったく、面倒くせぇ。」そう言うと小さくチッと舌打ちしてから笑顔で部長達の所へと行く姿を目の当たりに見てまたもや、この場の空気が一瞬凍った気がした。


怖っ。


「それで、その後、何か分かったのかな?」


この場の空気を変えようとこの前、社食で課長の婚約話を中途半端に話したきりだったので乾くんにこそっと聞いてみる。


「うーん、一応、杏香さんも情報集めてるみたいだけど…、俺もまだ詳しくは聞けてないですね。」


「そっか。」


課長は相手先の会社の事情まだ知らないのだろうか?


もし、相手がお父さんの会社を乗っ取っるつもりだと知ったら…婚約を止めるだろうか?


だけど…、婚約者、綺麗だったよね。


一瞬でも分かるくらい。


課長、私の事、好きだと言ってくれたけどあんな綺麗な人が相手なんじゃもう私の事なんてなんとも思ってないんじゃないかな…。


あの女の人の事を好きになってるんじゃないかな。


私の事なんてもう忘れちゃって…。


その証拠にさっきから時々課長が物凄く冷ややかな視線でこちらを睨んでる気がするんだけど。


そっか、やっぱり今日来るの止めれば良かった。嫌だよね?面倒な女が同じ空間にいたんじゃ、うっとおしいよね。


今日は早く帰った方が良いかもな。調子も悪いし。


こんな事考えていたら、ああ…、何か頭クラクラしてきた。


ここの所、ずっと寝不足だったからなぁ。


今日はあまり飲んで無いんだけどもう酔いが回ってきたか?


「ちょっと…、トイレに」


乾くんにそう言って立ち上がっ時、完全に目の前が暗くなってしまった。


そしてそのまま膝から崩れ落ちた。


意識がぼんやりとする中、乾くんが私の名前を呼ぶのが分かった。


後、遠くの方で雉原さんが何かを言ってる声も聞こえる…


やだな、恥ずかしい。


飲み会の席で倒れるなんて注目の的じゃん。


こんな姿、課長に見られたくないのに…


そのまま意識が遠退いていく瞬間、誰かに抱き上げられたのが分かった。


課長?


そんな訳ないな。


そっか、乾くんだ、乾くんが私を…


完全に記憶が途絶えた。