Tell me !!〜課長と始める恋する時間

家の近くまで来ると何やら騒がしい。


うちの飼い犬、チワワのポロンが珍しく吠えている。


「あれ、どうしたんだろ?あの子、普段ほとんど吠えないんだけど。留守番に飽きたのかな?」


「ご自宅が暗いようですが、今日は皆さんお留守ですか?」


二人して少し足を早めながら玄関先に辿り着く。


「はい、実は両親は泊りがけで同窓会に行ってて、弟は友達とまた泊まりでボードに行くって。」


その間も静かな住宅街に犬の鳴き声が響く。


慌ててドアに鍵を差し込むとーーー


開いていた。


えっ、締め忘れた?


ううん、それは絶対ない。だってお母さんに散々煩く言われたし。「出掛ける時、戸締まりと火の元の始末はしっかりしてちょうだい。」って。


隣に立つ課長を見ると


「桃原さんはここにいて。」


そう言うとそっとドアノブに手を掛け中へと入っていこうとする。


「ま、待ってください。危ないです。」


私も課長を呼び止める。だって万が一、泥棒がいて鉢合わせでもしたら危険だよ。


そう言えば前にお母さんも言ってたし、駅向こうのお家に空き巣が入ったって。


「大丈夫だから。僕が中を確認して安全だと分かれば桃原さんを呼びます。」


課長のただならぬ雰囲気に黙って頷く。


そして、ドアを開けるとーーー


そこには見知らぬ男が。