Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「怖い？」


「きっと、本気で好きになった相手に裏切られるのが怖いのだと思います。」


課長の周りにあった愛情はどれもが脆く壊れてしまうものばかりだったから。


「なるほどねぇ。ちょっと分かるわ、それ。」


「はい？」


珍しく課長の意見に同意する雉原さん。


「私にも分かるって言ってんのよ。」


「雉原さんがですか？」


「なに？悪い？」


「いえ、滅相もないです。」


全力で否定する。


「誰だって怖いって思う部分あるよ。ましてや片思いとかだったら尚更だよね。自分の気持ち、相手に受け入れてもらえるかなとか。自分の気持ちさらけ出して引かれた時なんか一生立ち直れない気がするもんね。」


「確かにそうですけど。」


「だけどさ、」


マンションの下まで戻ってきた私達。雉原さんは自分の部屋を見上げると、


「それでも好きって気持ちは抑えられないんだよね。」


独り言の様に呟いた。


「雉原さん？」


えっ、やっぱり雉原さん課長の事、好き、とか？


いや、さっきの否定っぷりからするとその可能性はかなり低い。


て事は……


えっ、えっ？


ええっ？


「も、もしかしてっ、」


「さっ、きっと絶妙のタイミングでシメのうどん出来てるはずだよ。早く部屋に行くよ。アイス溶けるだろが。」


「あっ、はい。」


それ以上は聞くことが出来なかった。