Tell me !!〜課長と始める恋する時間

もう遅いし、返事は今日一晩、よく考えてからでいいと課長が言うので漸く私達は帰ることにした。


遅いと言ってもまだ九時を少し回ったくらいだし一人で帰れるからと言ったけど、何かあったら後味悪いからと結局、課長の車で送って貰えることになった。


後味悪いって…。


課長の車の助手席に座る私。


隣を見れば相変わらずの美しいお顔で運転する課長が。


ふと助手席から見る運転中のレアな課長の横顔につい、スマホを取り出し画像に残しておきたくなる……


ああ、待受にしたいこの角度。


しかしながら、本当ならこの状況に飛び上がるほど嬉しい筈なのになんだろ?


この微妙な空気は……。


「課長にも普通に付き合った人とかいるんですね。社内でそういった話、聞かないから。」


なんとなくこの空気に耐え切れず話題を振るも微妙なネタだったか?


「付き合った事はあります。ただこれまでは社内の人間とは後々面倒なので付き合う事はなかったですね。しかし君の言う、普通にと言うのが何を指しているのか分かりませんが。」


社内の人間とは面倒って……私も一応、社内の人間なんですけど。


「えっと、普通は普通ですよ。一緒にどこかに出掛けたりとか寝る前に電話で話したりとか…」


「フッ、まるで、子供の付き合いですね。」


は、鼻で笑われた。


「だけど、遊園地くらい行ったりとかありますよね?」


いくら、本気で人を好きになった事がないと言っても普通にそれくらいの事はしてるよね?


「遊園地?………記憶にないですね。」


「えっ、ホントですか?遊園地デートとか定番じゃないですか?」


「人混みが苦手なので。」


話、終わった……


やっぱり前途多難かも。


「だけど、映画くらいならありますよね?」


めげるな私。


「一度くらいならあったかもしれません。だけど映画館で見るより一人でDVD借りて見る方が好きなので。」


撃沈…。


一人でってそれ、もうデートじゃないし。


課長と仮に付き合ったとしてもこれじゃぁ、距離を縮めるなんて無理なんじゃないの?


「でも普通は付き合うとあるじゃないですか、もっと一緒にいたいとか、気持ちを共有したいとか。」


「そんなものあれば桃原さんとこんな事になってないでしょう?」


た、確かに……


「ですよね。」


「それにさっきから気になるんだけど、桃原さんの言う普通の付き合いとは一体、どういう事を言うのです?」