「あたしがおもしろがって穂乃果をからかったの。それが楽しくて、ついやりすぎたの」

杏璃が嗚咽をこらえながらそう言った。

「だけど、ある日トイレで穂乃果が泣いてるのを見て……。とんでもないことしちゃったんだ、って思ったら情けなくて、顔を合わせるのが怖くなったの」

「謝れば済むことだろ?」

そう言う涼の声は優しかった。


杏璃は首を振ると、

「だって……、私なら許さないから」

と、声をしぼり出した。