「杏璃逃げて!」

家の中から悲鳴のような声が聞こえて、すぐさま転がり出てきたのは、杏璃だった。

初めて見る彼女は、

「お母さんも早く!」

と、叫びながら玄関の外まで駆けて来た。

「はい、捕まえた」

その腕を涼がしっかりと片手でつかむ。

「キャッ」と短く悲鳴をあげた杏璃が手足をジタバタさせた。

「なにすんのよ。離してよ!」

抵抗する杏璃の前に私と亜実が立った。