夜7時。


杏璃の家の近くで黒い煙があがった。



夜の闇の中でもわかるくらいすごい量の煙が家の周りを霧のように包み込む。

「火事だ! 火事だぞ!」

男の人の叫ぶような声。


遠くからサイレンの音が聞こえる。




私はそれを、杏璃の家の玄関先に立ってぼんやりと見ていた。