「お母様」

亜実が近づいて声をかける。

「失礼かもしれませんが、杏璃さんが学校に来ない理由はご存知ですか?」


「いえ……。聞いても答えてくれなくって」

疲れているのだろう。

目を真っ赤にしながら、お母さんは再度頭を下げると家の中に入って行った。

「……どうする?」

閉ざされたドアを見ながら尋ねると、涼が私の耳に顔を寄せた。

「そのままそっと2階の窓を見て」