「何で助けてくれないのよ??」

私は高村に怒りをぶつけた。
同じ電車なので、とりあえず一緒に駅に向かう。

「天野、男を追い払うの慣れてるし余計な手出ししない方がいいかと思って」

高村は悪びれる様子もなく、さらっと言った。

「それに、あの人見た目は怖そうだけど実はいい人かも知れないし。
だとしたら、僕が邪魔する権利もないしね」

「あの人は見た目通り、怖い人!!

とにかくさ、先輩に付き合ってるって言っちゃったから、しばらくは私と付き合ってる雰囲気でいてよね」

「えー、めんどくさ。
誰か他の奴に頼んでよ」

つ、冷たい。

わかってはいたけど、高村って
本当に私に1㎜の興味も無いのよね。

「ダメよ。先輩、さっき高村の顔
はっきり見てたもん」

「僕の顔なんて地味だから、記憶に残らないよ。

あ、三浦に頼んだら?
三浦なら文句なくかっこいいから、あの人も諦めるんじゃない?」

「翔平になんか頼んだら、今度は女子にリンチされちゃうわよ!」

私の叫びを聞いて、高村がはぁーと大きく溜息をついた。

「わかったよ。週に2回くらい一緒に帰ったりすればいい??」

「週に3回!!」