「別に、元気よ。高村なんかに心配されたくないしほっといてよ」

私はプイっと顔を背けた。

あぁ、久しぶりにいつもの自分で喋ってる。

おとなしいぶるのも、嫌われないように気を遣うのも自分で思ってる以上に疲れるみたいだ。

「よかった。僕の知ってる天野さんだ」

高村はにこっと笑って、そう言った。

「高村の知ってる私ってどんなよ?」

「そうだなぁ。
自分が一番可愛いって思ってるワガママで性格悪い女王様かな?」

「本人を前にして悪口言うあんたも十分、性格悪いわよ。
それに私が一番可愛いのは客観的事実であって、自惚れじゃないもの」

高村はあははっと声を出して笑った。

こんな笑顔もはじめて見る。
笑うと結構可愛いんだ。


「天野さんはその強気さが一番の魅力なんだから、あんまり無理しない方がいいんじゃない?

かわいこぶるの似合わないよ」

「よ、余計なお世話!!」

「はいはい、それじゃあね。
あ、その本、本当に面白いから読んでみてよ!」

もしかして、励ましてくれたのかな?
他人を心配するなんて、高村の方こそらしくないじゃん・・