…昨日、いや今日か。
俺は兄貴に言われて組に顔を出してから、倉庫に帰ろうとしていた。
まぁ、それでも組を出た時間は日が回ってたんだけどな。
…それで倉庫への近道の途中にある、街灯が一つしかない小さな公園の前を通った。
そこでふとシーンと静まる公園を覗いた。
「‥‥!!」
公園にたった一つしかない街灯の下の古びたベンチにまだ幼い"子供"がぽつんと座っていた。
もう日が回ってるのにこんな小さな子供がいるとは思わなかった。
とりあえずこのままにはしておけないと思って、声を掛けるために公園に入った。
ーージャリッ
「(バッ)」
公園に一歩入ると地面に敷き詰められている砂利が俺の靴に擦れたことで音が出たが、その小さな音で"子供"が顔を上げた。
「‥‥‥‥」
だがその"子供"は無表情のまま俺のことをじーっと見つめていた。
その真っ黒い闇に染まる赤い瞳に吸い込まれそうになりながらも、俺は座る"子供"の真ん前で立ち止まった。
俺を見上げる"子供"の目線と同じになるようにその場でしゃがんだ。
「…ね、君ここでなにしてるの?」
スーツ姿の俺が近づいても恐がりもしなかったから、到底怖がるとは思ってもいないが一応優しめに問いかけた。
「‥‥‥‥なにも。」
少しの間の後、小さくか弱い声で答えた。
明らかに何かあったのはわかっていたけど、触れたりすれば壊れそうで触れられなかった。
「…そっか。じゃあ家は?帰る家はある??」
「…かえりたく、ない‥‥」
ずっと無表情だったのに、家のことを聞くと酷く怯えた表情をして帰りたくないという。
…家に何か原因がありそうだ。
「じゃあ、俺と行く?」
「ぇ、、?」
そうなったら家には帰せないし、このまま放っておくことも出来ない。
「俺、今から仲間んとこに帰るから。
家に帰りたくないなら俺らんとこ来るか?」
普通の子供なら知らないこんな怪しい奴について行くわけがないが、
「…いく。」
この"子供"はこう言うことを俺はわかっていた。