不機嫌そうな顔で睨まれ、僕は周りに聴こえないようにため息をついた。
神楽「…わかったよ。
あれは藤井家に来て2日目の夜中だった…
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まだ生活に慣れなくて眠れなかったから、外で少し散歩していた。
そして、たまたま通った近くの公園に立ち寄り、2つあった中の1つのブランコへと座った。
キーコーキーコー
錆びていたからか、独特の軋む音がしながら俺はブランコをゆっくり漕いでいた。
ザザッ
「…ねえ。」
「うわあぁぁぁあ!?」
ブランコを止めた瞬間、後ろからいきなり声をかけられ、ブランコを飛び降りて後ずさる。
「だっ、だれ!?」
柵に手を付いてすぐに逃げれる準備をしたままその人物へと問いかけた。
公園にある街灯のせいで逆光となり、その人物の顔はまだ見えない。
離れていて詳しくは分からないが、その人物の身長は当時同年代より小さかった俺より少し高いくらいで、子供だということ。
それと、風が吹いてその人物の腰まである長い髪が揺れて見えた。
つまりその人物は、俺と同じくらいの歳の女の子ということだけがその時わかっていたことだった。
「…僕は君のおにいちゃんの知り合いだよ。」
「……おにー、ちゃん??
なにいってるの。僕にはお兄ちゃんなんて、、」
「いるよ。君がわすれているだけで。」
その子の声は子供特有の高い声だったが、その言い方は大人びていて頭に響いてくる。