「レイ、そろそろ行こう」
レイは首を傾げた。全く、わざわざ駅前まで来た理由を忘れるなんて。
「駅前のクリスマスツリー見に行くんでしょ」
ため息混じりにそう言うと、ああそうか、とレイは思い出したようだった。
「へぇ、お前ら駅前に行くのか」
それはいいな、とユズは笑った。
「うん。ユズと紗由はこれからどうするの?」
すると2人は顔を見合わせて肩をすくめた。
「まだまだやらなきゃいけないことがあるの。会場の下見とか、買い出しとか、色々ね」
紗由は力なく笑った。
どうやらクラス会の企画担当者というのは相当大変らしい。引き受けなくて良かったと心底思った。
「あぁ。だからここでお別れだな」
ユズはそういうと、レイの頭をポンポンと撫でた。
「もう迷子になるんじゃねぇよ」
「はい!」
レイは満面の笑顔を見せた。
「ユズも紗由もごめんね、今日は迷惑をかけてしまって。まだ2人ともやらなきゃいけないことがあったのに」
申し訳なくて謝ると紗由は「謝らなくていいよ」と微笑んだ。
「…大事ないとこが見つかって良かったね」
「うん。ありがとう」
僕は紗由に微笑み返した。
しかし紗由はなんだか深刻そうな顔をして「あのさ」と切り出して、けれどすぐに口をつぐんだ。
「なに?」
そう聞き直すけど、紗由は笑って首を横に振った。
「何でもないよ」
「本当に?」
「本当に」
気にしないで、と紗由は笑う。
それ以上踏み込んでほしくないような感じがして、僕はそれ以上問い詰めることはしなかった。
じゃあね、と手を振り、ユズと紗由と別れて、僕たちはクリスマスツリーのある駅前へと向かった。
「ちょっ、椎!」
後ろを歩くレイが人混みの中僕の名前を呼ぶ。
「なに?」
「なに?じゃないですよ!なんで手を繋いでいるんですか!」
レイはなんだか怒っているようだ。
「手をつないでもらわなくても私は迷子になりません!」
高らかに宣言しているが、どうにも説得力がない。
レイは首を傾げた。全く、わざわざ駅前まで来た理由を忘れるなんて。
「駅前のクリスマスツリー見に行くんでしょ」
ため息混じりにそう言うと、ああそうか、とレイは思い出したようだった。
「へぇ、お前ら駅前に行くのか」
それはいいな、とユズは笑った。
「うん。ユズと紗由はこれからどうするの?」
すると2人は顔を見合わせて肩をすくめた。
「まだまだやらなきゃいけないことがあるの。会場の下見とか、買い出しとか、色々ね」
紗由は力なく笑った。
どうやらクラス会の企画担当者というのは相当大変らしい。引き受けなくて良かったと心底思った。
「あぁ。だからここでお別れだな」
ユズはそういうと、レイの頭をポンポンと撫でた。
「もう迷子になるんじゃねぇよ」
「はい!」
レイは満面の笑顔を見せた。
「ユズも紗由もごめんね、今日は迷惑をかけてしまって。まだ2人ともやらなきゃいけないことがあったのに」
申し訳なくて謝ると紗由は「謝らなくていいよ」と微笑んだ。
「…大事ないとこが見つかって良かったね」
「うん。ありがとう」
僕は紗由に微笑み返した。
しかし紗由はなんだか深刻そうな顔をして「あのさ」と切り出して、けれどすぐに口をつぐんだ。
「なに?」
そう聞き直すけど、紗由は笑って首を横に振った。
「何でもないよ」
「本当に?」
「本当に」
気にしないで、と紗由は笑う。
それ以上踏み込んでほしくないような感じがして、僕はそれ以上問い詰めることはしなかった。
じゃあね、と手を振り、ユズと紗由と別れて、僕たちはクリスマスツリーのある駅前へと向かった。
「ちょっ、椎!」
後ろを歩くレイが人混みの中僕の名前を呼ぶ。
「なに?」
「なに?じゃないですよ!なんで手を繋いでいるんですか!」
レイはなんだか怒っているようだ。
「手をつないでもらわなくても私は迷子になりません!」
高らかに宣言しているが、どうにも説得力がない。


