「作り方、分からなくて」

レイは申し訳ないという気持ちがこちらにも伝わってくる。

謝らなくていいのに。

トースターの使い方すら教えていなかった僕が悪いのに。

「顔を上げて」

僕はそういうとベッドから降りた。

「着替えるから、レイは寝ていた部屋でちょっと待ってて。朝ごはん、準備できたら呼ぶよ」

「でも…」

レイは納得がいかない、とでも言うように眉間にシワを寄せて難しそうな顔をした。

レイはきっと、自分の力で僕とレイの分の朝ごはんを準備したかったんだろうな。

僕はその顔にフッと笑って、「気にしないで」と言った。

「また明日、僕が起きなかったら、よろしくね」

するとレイはハッと顔を上げてニコッと笑った。

「明日は作ります!」

レイはペコリとお辞儀をして、部屋を出ていった。

パタンとドアが締まり、僕は大きく伸びをした。

ささっとジーパンとシャツ、カーディガンを来て、またひとつ伸びをした。

さあ、朝ごはんの時間だ。

さて、何を作ろうか。確か、冷蔵庫に卵とウィンナーがあったような気がする。

そんなことを思いながらフライパンを火にかける。

冷蔵庫を開けると案の定、卵があった。

「あれ、ウィンナーじゃなくて、ベーコンか」

僕はベーコンを2切れ取り出すと、フライパンに並べた。

ウィンナーでもベーコンでも、美味しくできるから問題ない。

フライパンにベーコンを並べるとジュッと美味しそうな音がなって、ぐう、とお腹がなる。

ベーコンを焼いているうちに、食パンの袋を2枚取るとトースターに入れて焼く。

そしてベーコンをひっくり返すと、いい具合に香ばしそうに焼き色がついている。

「いい感じ」

その上に卵を2つ割りいれる。

端は白くなるけどまだまだ透明の白身。その上から塩コショウを軽くふって、フライパンに蓋を被せた。

しばらくして蓋を外すと、ふわっとベーコンのいい匂いが広がる。

匂いを嗅ぐだけで幸せになるような、あたたかい匂い。

するとタイミングを図ったようにちょうどパンが焼き上がった。

トースターからパンを取り出して、ベーコンと卵をそれぞれ1つずつ焼き上がったパンの上に乗せる。

「どうしたの?」

ベーコンの匂いにつられたのか、ひょこっとレイが顔を出した。