煥先輩って、わからない。 朝、わたしが泣いたとき、いつの間にか煥先輩の手がわたしの肩に添えられていた。 温かくて、大きな手のひらだった。 煥先輩は赤面しやすくて、照れるとすぐに手のひらで口元を覆う。その手の形が好き。 人と接触するのが苦手なのに、今朝、煥先輩はわたしを拒まなかった。 「残酷すぎる……」 期待させるんだもん。 本当はそうじゃないくせに。 ただ優しいだけで、好きとか、そんなんじゃないくせに。 小夜子を消し去った選択も、そう。 残酷だけれど、優しくて正しかった。