わたしたちが軽音部室に着いたとき、文徳《ふみのり》先輩がドアの鍵を開けるところだった。



「あれ、鈴蘭さん? 今日は図書室じゃないんだ?」


「友達を、煥《あきら》先輩に紹介したくて。小夜子は煥先輩の大ファンなんです」



小夜子がペコッと頭を下げた。


サラサラの髪が弾む。



「初めまして、玉宮小夜子です! どぉぉしても煥さんにお会いしたくて、鈴蘭に無理を言って、連れててもらいました。お邪魔かとは思ったんですけどっ」



文徳先輩がクスッと笑った。



「珍しいね、煥に会いたい子だなんて。あいつ、見た目が怖いだろ? 愛想ないし。おかげで、近寄ってくる女の子はめったにいない」