「鈴蘭ちゃんの将来の目標だもんね~、スクールカウンセラーって。大学教授やってるおとうさんの影響?」



大学で教育心理学の教鞭を執る父は、著書もたくさんある。


世間でもわりと有名なほうだ。


でも、入り婿の父は、仕事の上では旧姓を使い続けているから、彼がわたしの父だと知る人は少ない。



「長江先輩、どこまで調べたんですか? どうして? 何のために?」


「気持ち悪~いって顔してるね」


「当たり前です」


「ま、気持ち悪いよね。申し訳ないな~とは思ってるよ。でもまあ、鈴蘭ちゃん自身じゃなくて、青龍の安豊寺のことを調べただけだから、勘弁してよ」