【大幅加筆】クール男子の取扱説明書





「あの……」



静まり返った廊下に、不意にかけられた声。

眠れなくて、なんとなく部屋を抜け出して、当てもなく歩いていただけだったのに、その一言で現実に引き戻される。

振り向くと、見覚えのある顔。えっと……誰だっけ、と思った瞬間に向こうから名乗ってきた。



「今日、二回も会いましたよね…カオルって言うんですけど…」



ああ、さっきコンビニで会った……渉とぶつかったあの子か。



「こんな時間に一人で?」



一応、形式的にそう聞くと、「眠れなくて……」と、どこか弱々しい声で返ってくる。

その様子に、少しだけ嫌な予感がした。面倒なことになりそうだな、と直感的に思う。正直、この人とは関わりたくない。理由はうまく説明できないけど、なんとなく苦手だと感じるタイプだ。



「じゃあ、俺はこれで」



そう言って、さっさとその場を離れようと軽くお辞儀をする。その瞬間だった。

視界がぐっと引き寄せられて、気づいたときには目の前の部屋の扉が開かれていて、強引に中へ引きずり込まれていた。