石原さんがコーラを指さした、そのときだった。
「と、届かない」
少し離れたところで、背伸びしながら必死に手を伸ばしている女子が二人。明らかに届いていないのに、なんとか取ろうとしている様子が目に入る。
「どうぞ」
俺は手を伸ばして、そのコーラを取って差し出した。
「こ、こんばんわ」
「……こんばんわ」
ぎこちない挨拶。自分から話しかけてきたくせに、妙に挙動不審な二人だ。
よく見れば、さっき渉とぶつかったあの二人だった。
「旅行できてるんですか?さっきの友達と……隣の彼女さん?も」
「8人で。あと、隣の子彼女じゃないです」
「えっ、あ!そうなんですか!」
何にそんなに驚いているのか分からないけど、とりあえず答える。
それよりも気になるのは――隣にいるはずの石原さんが、さっきから一言も話していないことだった。
視線を横に向ける。


