「今井くんは、私の初恋だよ〜」
何の前触れもなく、そんなことを言ってくる。普通、目の前にいる本人にそんなこと言うか?恥ずかしくないのか?
「あのさ、人の気も知らないでそんな事言うのやめてくれる?」
「あ、ごめん!照れてる!?」
この人、本当に昨日と同じ人か?って思うくらい、遠慮がない。多分、俺が変に距離を縮めたせいで、完全に調子に乗らせてしまったんだろう。
でも、不思議と嫌じゃない。それどころか、楽しいと思っている自分がいる。こうして二人で抜けてきたことも、全然後悔していない。
……やっぱり俺、ただ単に石原さんのことが好きなだけかもしれない。難しく考える必要なんて、本当は最初からなかったのかもしれない。
「ねぇ、石原さん――」
「あっ!!圭太くん!」
俺が名前を呼びかけたその瞬間、石原さんは俺の声を遮るようにして、勢いよく左の方へ走り出した。
「……は?」
取り残されたみたいに、その背中を見送るしかできない。視線の先には、班別行動をしているらしい男女のグループが見える。
ああ、なるほど。さっき呼んでた“圭太くん”って、あの学級委員長か。
……へぇ。委員長のことは名前呼びなんだ。


