歩き出してから5分くらい経ったころだった。
さっきまで隣に誰がいたのかすらはっきり思い出せないのに、気づけば自然と、何の前触れもなく、俺の隣には石原さんが並んで歩いていた。
まるで最初からそこが定位置だったみたいに、違和感なく、当たり前の顔をして。
前には、少し離れたところで他の4人が楽しそうに話しながら歩いている。笑い声が風に乗ってこっちまで届いてくるけど、不思議とそれが遠く感じた。
俺の意識は、すぐ隣にいる石原さんに全部持っていかれているからだ。
並び方は、まぁ普通に考えればああなるよな、っていう配置で、渉と中村さんが先頭、その少し後ろに野村と西川さん。そのさらに後ろに、なぜか俺と石原さん。
「石原さん、いつ俺の隣来たの」
何気ないふりをして聞いたつもりだったけど、自分でもわかるくらい少しだけ声が硬かった。
「さあ?いつでしょう!」
石原さんはいたずらっぽく笑いながら、俺の目の前に人差し指を突き出してきた。
その仕草がやけに近くて、思わず一歩分だけ距離を意識してしまう。
その指、何の意味があるんだよ。問い詰めたいのに、楽しそうな顔をされるとそれもできない。


