俺をこんなに好きにさせて、どうしたいわけ?

無言でレジを離れるから、そのあとを追うようにあたしも店を出た。




「ちょっ…あたし、お金払うよ」




小銭を財布から出していると、ジュースだけを目の前に突き出してきた。




「いつもの癖だな」




「癖?」




「俺のモットー、レディファーストだから」




「え…それって、そういう使い方じゃないよね」




やっぱコイツ、バカ。








「なんでも、いーんだって。辛いとき、優しくされっとグッとくるだろ?これ、モテの秘訣」




「はあぁ!?あたし、別に辛くないし。それにグッとなんてこないよ」




「そか。ま、飲めや」




いつものイジワルな雰囲気はなく、にこやかに笑う矢野が、



なんだか別人に見えた。