一度電話をかけ、何度かコールする。



出ない…。


諦めてはまた、再度かけ直す。



お願いだから、出て?



必死の願いも虚しく…。









と、思っていたら。



「…なんだよ」



でっ、出たーっ!!



もう、驚きと嬉しさとが入り交じった不思議な気持ち。



「やっ、矢野!矢野だよね?」



「テメー、誰の電話にかけてんだ。確認する必要、あんのか?」



すこぶる機嫌が悪いものの、



この口調は、紛れもなく矢野だ。



よかった、なんだか元気そう。



「悪い、切っていい?」



え。



せっかく繋がったのに、そうなの!?



とっさに出た言葉は。



「や…ヤダ。お願い、切らないでっ。あたし、矢野に言わなきゃいけないことがある」