「あ、これこれ!忘れてるよ」



美琴が、ウィッグをあたしに手渡す。



「いらないよ~」



いつものあたしの方が、夜道を歩くには都合がいい。



「かぶって。あの日以来、女の子レッスンしてないよね!?せっかくアドバイスしたのに!!」



美琴は、頬を膨らませてぷんぷん怒っている。



そんな仕草さえも、かわいらしくて。



「美琴が怒っても、全然怖くないよー」



「お姉ちゃん、ジャージで外出とかありえない。

あたしがコーデするから。すぐ着替えて」







え、え…!?


あれよあれよという間に、美琴先生の女の子レッスン。



再びあたしは、ニセモノのあたしに変身した。