『・・・焦った?』
彼はニッと笑って私の顔を覗き込む。
その瞳はとても意地悪で。
『昨日の、仕返し・・・』
そう、優しい声でつぶやいて、私の腕を取り抱きしめる。
『・・ここ、丸見えなんだけど』
そう、抱きしめられているのは
テニスコート。
全校舎に囲まれた有り得ない立地のあのテニスコート。
もちろん頭上からはたくさんの視線が星のように降っている。
『みんなに説明する手間省けるし。一番は・・・俺もお前も、もう誰からも告られない・・・』
そして・・・・
彼は抱きしめた私の耳元で囁く・・・・
『・・・俺、お前しか見えねーから。』
『・・・・うん』
『・・・俺、スゲー嫉妬もするけど』
『・・・・うん』
『俺、もう一つ大事なこと言ってない・・』
『・・・ん?』
私の肩を優しく抱いて、そしていつもの優しい瞳。
私は視線を外せない。
彼の瞳には私。
私の視界には彼。
そして、優しい声で
『・・・島田彩。俺と付き合ってください』
『・・・・・うんっ!』
私は彼の胸に飛び込んだ
fin

