「あした」を探すのも。「きょう」を生きるのも辞めてしまった私の前に、ひとりの男の人が立った。 「君は、笑えないのかい?」 初めてあった人に、心からの笑顔を、向けてもらったのは初めてのことだっただろう。 最初は、私に話しかけていることにも、気がつかなかった。 それは、うぶな雛鳥が体験した、「恋」の始まりだった。