なん、だって……?
冬吾の言葉に全員が一斉に席を立った。
驚いている事は確かなのに、誰の口からも言葉は発せられない。
いや、発したくても発せられないんだ。
驚きすぎて言葉にならない。
俺を含めた四人が険しい面持ちで十夜に近付いていく。
「十夜」
「分かってる」
十夜は俺と視線を交わすと、冬吾から受け取った携帯の“あるボタン”を押した。
そして、
「お前は誰だ」
そう問い掛けた。
『そんな事どうでもいいだろう?』
電話口から聞こえてきたのは誰かも分からない男の声。
さっき十夜が押した“あるボタン”はスピーカーホンの事で、俺達は何かあったと判断した時は必ずスピーカーホンにする。
その方がわざわざ後で説明をしなくて済むからだ。
「何でアイツの居場所を知ってる」
十夜は敢えて男の言葉には触れなかった。
それよりも今は凛音の方が気になる。
『“何で”?そんな事お前等には関係ない。俺は東條 凛音の居場所を親切に教えてやろうとしてんだ。余計な事は聞くな。それとも、教えて欲しくないのか?』
「………」
男の余裕綽々な口振りが燗に障る。
そもそもコイツの情報はアテになるのか?
どこのどいつだか分からない男をいきなり信用しろという方が無理だろ。


