スマホをポケットに戻して、色ボケ男の所へ戻る。



「電話終わったのか?」


気配で分かったのか、色ボケ男が振り返ってきた。



『あぁ、上で貴兄と優が待ってる』


「マジで?二人も来てんのかよ。そりゃそうだよな、あの二人がお前を一人で出歩かせる訳ねぇよな」



全くその通りだよ、色ボケ男くん。


色ボケ男くんの言う通り、こっちに帰って来てから一人で出歩いた試しがない。



……心配しなくても何処にも行かないのにね。





「取り敢えず二人の所へ行くか。遥香ちゃん、葵ちゃん、ホントに駅までの道分かる?」


「も~遊大くん、さっきからそれ何回目?」


「大丈夫!葵は引き摺って行くから」


その気合いの入れ方が逆に頼りなく見えるんです、遥香さん。





「二人共、化粧品売り場の女の子達には気を付けてね」


「リンくん、良かったら今度遊んで!」



にっこりと極上スマイルで笑いかけてくれる遥香さんと、ペロッと舌を出して笑う葵さん。


そんな二人に『うん、また遊ぼう』と言って手を振る。



「遥香ちゃん、葵ちゃん、気を付けて」



二人が見えなくなるまで笑顔で手を振り続けている色ボケ遊大にまたもや鳥肌になる凛音ちゃん。



だからその笑顔が気持ち悪いんだってば。


本日三度目の鳥肌を両手で擦りながら、いそいそとエレベーターへと乗り込んだ。