「──週末、って言っても明後日か。その日なら手伝えるからまた一緒に行こうな」


「……それはありがたいけど、貴兄、忙しいんじゃないの?」


珍しくあたしの変化に気付いていない貴兄に、遠慮がちにそう問い掛ける。


「まぁな。でも一日ぐらい大丈夫だよ。この頃全然お前に構ってやれなかったしな」


「あたしは大丈夫だよ?こうやって帰って来てくれるだけで嬉しいから」



……痛い。

その笑顔が痛い。


貴兄が好意で言ってくれてるのは分かってるけど、今はその笑顔を見ると貴兄に責められている様な気がして……。



「……ごめんな。忙しいのももうすぐ終わるから。終わったら遊大達も誘って皆で遊びに行こうな」



罪悪感が、どんどん膨らんでいく。



「……うん。楽しみにしてるね」


「その前に引っ越しな」


「いたっ!」


意地悪な笑みを浮かべながらあたしにデコピンをした貴兄は、靴を履いてポケットからバイクの鍵を取り出した。


「じゃあ行ってくる。俺達が出たらすぐに鍵閉めろよ?」


「うん」


「凛音、知らない人が来ても開けるんじゃねーぞ!」


「開けないし!っていうかあたしは小学生じゃないんだからお留守番ぐらいちゃんとできますー!」


優音までもが意地悪な笑みを浮かべて茶化しにきた。


ホント、あたしを何だと思ってるんだ、この二人は。



「凛音は可愛いからな。もしかしたらストー──」


「ないないない」


なんていう恐ろしい事を言うんだ。


ホントに居たらどうするの。