何もかもお見通しなんだ。
いつも気付いてくれる。
嬉しい時も哀しい時も。
十夜はいつも気付いてくれるんだ。
「お前は“何もしなくていい"」
いつも、
「“待つ”ことも」
そう言って背負ってくれる。
「ただ、今まで通りに過ごせばいい」
──全てを。
「十夜……」
「何も言うな」
「……え?」
十夜の眉根が寄り、瞳に哀しみの色が浮かぶ。
その表情につられてあたしの眉根も寄っていく。
「お前の口からは全てが終わった後、」
「………」
「お前を取り戻してから聞く」
「………っ、」
十夜───
先刻とは一変し、まるで獲物を狙う獣のように鋭い眼光を放っている十夜の双眸。
その瞳に、全てが囚われる。
視線も心も何もかも。
全て、囚われる。
「だから、それまで頭の中を整理しておけ」
「……っ、うん」
今のあたしには頷く事しか出来なくて。
だから、あたしは伝えたい言葉の代わりに今作れる最高の笑顔を十夜に送った。


