「そんな彼をおじさんは見ていられなくなってね。彼に『凛音ちゃんに連絡取ってあげようか?』って聞いたんだ。
そうしたら彼、『来てくれないだろうから』って言って断ったんだよ」
「……っ…」
「……けど、おじさんも正直、彼の待っている姿を見るのが耐えられなくなってね。
だから今朝、『帰って休みなさい。凛音ちゃんが来たら連絡してあげるから』って言ったんだ。
だけど、彼はそれも断ろうとした。
そんな彼におじさんも意地になってきてね。最後には『これ以上此処に居ると警察呼ぶよ?』なんて言って脅してたよ」
あたしの頭をヨシヨシと優しく撫でてくれるおじさんは困った様な笑顔を浮かべて、再び度ドアへと視線を向けた。
「……彼に電話をした時、“凛音ちゃん”しか言っていないのにすぐに電話を切られてね。
慌ててかけ直して『今来た所だから慌てなくてもいいよ』と言ったんだ。
よっぽど逢いたかったんだろうね。凛音ちゃんに」
「おじさん……」
撫でていた大きな手が止まり、おじさんの温もりと共に優しい微笑みが向けられる。
「……凛音ちゃん、良い人に巡り会えたね。彼ならきっと君を幸せにしてくれる」
「……っ、うん……」
おじさんの言葉に何度も何度も頷く。
頷く度涙が零れ落ちた。
それは哀しみではなく嬉しさから溢れてきたもの。


