「一日目は特に何とも思わなかったんだけどね。二日目、三日目と、この暑い中毎日駐輪場で居るのを見て、あぁ、凛音ちゃんと何かあったんだなって思った」
十夜が、毎日……。
「それまでは声掛けなかったんだけど、四日目に見掛けた時、彼はとてもじゃないけど駐輪場に居させてあげられないぐらい顔色が悪くてね。このままじゃ熱中症で倒れてしまうと思って『家に帰りなさい』と言ったんだ」
「………っ、」
見てもいないのにその光景がリアルに頭に浮かんできて、思わずギュッと服を握り締める。
「……でもね、おじさんがどれだけ毎日帰りなさいと言っても、彼はそこから動こうとしなかったんだよ」
「……っ」
おじさんから紡がれる言葉に、涙がじんわりと浮かぶ。
「彼は、ずっと、ずっと玄関だけを見てたよ。……哀しい瞳で」
……っ十夜……。
「髪の毛の長い女の人がマンションに入っていくたび反応して。その人が凛音ちゃんじゃないと分かった途端、彼は目に見えて落胆してた」
おじさんの言葉に、もう涙を堪える事は出来なかった。
……まさか、まさか十夜が毎日此処であたしを待っていたなんて思いもしなかった。
毎日あたしを待ってたなんて、
そんなの全然知らなかった。


