ちょ、意味分かんないんだけど!
なんでそんな拗ねた顔してんの!?
っていうかアイツって誰!?
「……っ、な、なに……?」
まるであたしの心の声が聞こえいたかの様にタイミングよく立ち止まった十夜が、不機嫌丸出しの表情で振り返った。
二段下にいるせいか、いつもより目線が近い。
「………」
少しだけ見上げるその視線は明らかに不満そうで。
高鳴る鼓動とは反対に嫌な汗がツツーと背中を伝う。
「抱き寄せられてんじゃねぇよ」
「………は?」
抱き寄せ?
眉間に深くシワを刻み、フイッと視線を逸らす十夜。
そんな十夜とは反対に目が点になるあたし。
抱き寄せられてって何?
見当もつかない言葉に大きく頭を捻らせる。
あたし誰かに抱き寄せられたっけ?
……って、あ。
頭の中を隅から隅まで探していると、一つだけ思い当たる節があった。
も、もしかして十夜が言ってるのって……。
「っち、違う違う!遊大とはあたしはそんなんじゃなくて、あれは、その、ただの幼馴染み──いっ、とーや!いひゃい!」
必死に弁解していると突然十夜に頬っぺたを引っ張られた。
「ちょ……!」
「──ムカツク。他の男の名前呼んでんじゃねぇよ」


